俺は、あの世界で自分の罪に気づけなかった
  
でもレナは気づいた…この世界で、自分の罪の重大さに気づけたんだ…きっとこれは奇跡。
 
 
これで、この世界で出来る、俺の罪滅ぼしは終わったんだ………
 
 
 
 
 
 
 
涙 色 の 空 
 
 
 
 
 
 
 
「大石さん……警察に行く前に、圭一くんと2人きりで話をさせてもらえませんか?」
 
竜宮レナは、普段の落ち着きを取り戻していた。
寄生虫や宇宙人がどうこうと騒ぎ、鉈で脅迫し学校を占拠。そして、ガソリンを使った自爆テロを企てた、凶悪かつ悪質な犯罪者。
儚げな少女の姿をしているとはいえ、この犯罪者の願いは、到底聞き入れられるはずがない。
 
だが先程、屋根の上でのこの少女とあの少年のやり取りを見ていた大石は、
“到底聞き入れられるはずの無い事”を聞き入れてみようと思った。
もうこの少女に狂気はない…あの少年のおかげで、純粋な少女に戻ったのだと、信じたかった。
 
 
 
「10分だけですよ」
 
 
 
大石はそう言いながら、胸ポケットからタバコを取り出し口に含む。
周りの刑事達の制止を振り切り、少年と少女を2人きりにした。これから長い間…2人は会えなくなるのだから。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
大石の了承を得た圭一とレナは、2人きりで学校の裏校舎に居た。
ここは、あの水鉄砲の試合の時、2人が引き分けになった場所だ。
 
 
「…………。」
 
 
あれから、色々なことがあった。短い期間に、色々な事が。
自らの手を血に染め、2人の人間を殺害した事も。
ゴミ捨て場でお互いの罪を許し合い、自分達は仲間だと誓い合った事も。
鷹野さんからスクラップ帳を渡され、今回の惨劇に繋がってしまった事も……
 
 
 
 
 
(どこをどうしたら、この悲劇は起こらなかったのだろうか。)
 
 
 
 
 
いや、そんなの分かりきっている。最初から間違っていたのだ。最初から全部。
 
 
「レナ……大丈夫か?」
「うん、レナはもう平気だよ。圭一くんこそ、本当にゴメンね…」
「いいんだ。もう終わったんだから」
「…………。」
 
 
宇宙人も、寄生虫も、園崎家の陰謀も、人間のコピーも、オヤシロ様の祟りも、全て終わった ―――?
 
 
 
「私、戻って来られるのかな……」
 
「!!!」
 
「こんな恐ろしいことをした私を、またみんなが仲間として受け入れてくれ……」
 
「レナッ!!!」
 
 
圭一は怖い顔でそう大声を出すと、レナは反射的にビクッとする。
既に濡れていた瞳から、大粒の涙が落ちた。圭一は、手を伸ばしてレナをぎゅっと抱き締める。
 
 
 
 
痛いくらいに強く………でも、優しく――――
 
 
 
 
「圭一…くん……」
 
「レナも分かってるだろ……?」
 
「…………っ」
 
「俺達がどれだけ強い絆で結ばれているか。
 みんながどれだけレナの事を想っているか!!俺達はずっと仲間だ!今までも、これからもずっと…っ!」
 
「…………っ!!」
 
 
 
私を、受け入れてくれる?―――圭一くん、魅ぃちゃん、沙都子ちゃん、梨花ちゃん。
ずっと一緒に居たのに。みんなを信じていたはずなのに。
こんな事にならなかったら、私達、ずっと一緒に居られたのかな?居られたよね、私……
 
 
(まだ、間に合うのかな………。)


私はただ、誰かに傍に居て欲しかっただけ。
もうひとりぼっちじゃないと安心したかった。本当の仲間が欲しかった。私の願いは、もう叶っていたのに……。
目新しい何かが欲しかったんじゃない。ただ、当たり前が欲しかっただけなのに。
みんなで笑って、遊んで、普通に、恋をして………。
 
 
 
 
「圭一くんと、普通の恋…したかったよぉ………っ」
 
「出来るさ!今からだって……今からでも遅くないだろっ!?」
 
「でも……私は……もう………」
 
「もうじゃねぇ!俺は…待ってるから……」
 
「えっ?」
 
 
 
圭一は、レナを少しだけ引き離すとしっかりと目を見た。
さっきの勝負はレナの勝ちだった…だから、俺はレナの願いを聞いてやらなくちゃいけない。
 
「ずっと一緒に居る」そんな簡単な願いだから。
 
 
(俺は、またレナと、みんなと一緒に……この雛見沢で……………)
 
 
 
 
 
「レナが罪を償って帰って来るのを、俺はこの雛見沢で待つ。ずっと……ずっと、俺はレナの帰りを待ってるから」
 
 
 
 
 
レナは1人じゃない―――。
 
俺も、魅音も、沙都子も、梨花ちゃんも、ずっとレナの事待ってるから…レナの事、大好きだから。
 
 
 
 
 
 
「だから、安心しろ。レナは1人じゃないんだからな」
 
「……………っ」

「お前の居場所は俺達だ」

「圭一くん………っ」
 
 
 
 
 
圭一くんの胸の中で、大声で泣いた。
この涙の意味は、私の後悔。ずっと一緒に居られたのに、私は自分自身で、離れ離れの道を選んでしまった。 
 
(私が自分の手で壊した、幸せな日々)
 
 
 
 
「これから、離れ離れになる……でも、俺はずっとレナの事を想ってるから……」
 
「うん………」
 
「レナ、元気でな……」
 
「圭一くんも、どうか元気で…!」
 
 
 
時間が、来てしまった ―――。
名残惜しそうに2人は大石の元に向かう。これから、レナと圭一は離れ離れになる。
 
 
警察に連れて行かれるレナ。見送る仲間達。駆け寄りたいのを、必死で押さえる。
 
 
「レナ………!」
 
「またね、圭一くん。魅ぃちゃん、沙都子ちゃん、梨花ちゃん…ありがとう。そして、ごめんなさい……」
 
  
 
 
 
 
 
(あぁ、空ってこんなに青かったんだ……)
 
 
レナはパトカーの中で、涙を落とさないように必死で顔を上に向けていた。しかし、耐え切れなくなり涙が頬を伝う。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
さよなら、圭一くん………
 
 
また会えたら、今度こそみんなで取り戻そう。あの楽しかった日々を――――。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
竜宮レナが逮捕された翌日、雛見沢は噴出した火山ガスによって壊滅した。
犠牲者は2000人を越え、その中には
 
 
 
 
――――― 前原圭一 死亡
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
その日、竜宮レナは夢を見た。
死んでしまった、大好きな仲間達が自分の所に来る夢を。最後のお別れを、言うために…?



レナ、必ずまた会えるから。
 
……また、次の世界で会おうな?
 
 
 
(そして、今度こそ幸せをこの手に掴むまで、俺達は何度も、何度でも…………)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
>>あとがき
 
いや、もう罪滅ぼしのラストは本当に感動した…!大泣きでした。
最初、アニメで見たんですけどもう…なんていうか……超・感・動!!!
 
そんな素敵な罪滅ぼしのラストの続きを妄想して、これかっ!!すいません。お目汚し本当に失礼しました。
ちょ、ちょ!?って感じですが勘弁してくださいな。痛いほど自覚してますので…っ(涙
 
ひぐらしの圭レナは本当に素敵だな、と思う今日この頃…
罪滅ぼしの2人は完全に両思いですしね!それなのに、最後は圭一は大災害で命を落としてしまう訳ですが…うぅ、悲しい。
でも、また2人は会えますので。死んでもまた会えるというのがひぐらしの魅力ですが、でも、切ないですよね…(涙
あと、この話を書いたのは、罪滅ぼし編の漫画3巻までと最終会を立ち読みした時に書いたものなので、設定違います。
設定違っていましたが、書き直しました(2009.02)
 
では次こそ、幸せな未来にたどり着ける事を心から祈って…+
では、この小説を読むために時間を使ってくださってありがとうございましたっ!
 
-2008.05.27-
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