「圭一くん、今度の日曜日ピクニックに行かない?レナ、腕によりをかけてお弁当作るからっ」
 
 
「ま、マジかよっ――!!」
 
 
 
 
 
 
妄想☆ピクニック
 
 
 
 
 
 
土曜日の夜、俺は明日の事を考えて妄想を膨らませていた。
いや、妄想というか予行練習というか…まぁ、そんな感じだ。断じてやましい事を考えている訳じゃない、断じて。
神に誓う、神に!……い、いや…やっぱ100%ないとは言えないが……
 
……お前なら、俺の気持ちわかってくれるだろ?
 
 
 
 
「圭一……一体何をそんなにニヤけてるの」
「母さん!えっ、俺そんなにニヤけてるか!?」
「ニヤけてるわよ、顔緩みっぱなし」
「そーかなぁ、いや…明日レナとデートでさぁ………えっ!?デートなのか、これデートか!!」
「……1人で何言ってるの」
 
 
母さんがいくら呆れようと、俺は明日が楽しみでたまらないのだ。
健康で正常な男子生徒が可愛い女の子と2人きりでピクニック…しかも手作り弁当ときた。これはもう決まりだろ!
 
 
「そういえば、今日レナちゃんと買い物で会ったんだけど…」
「えっ……レナと!?」
「何か、たくさん買い物してたわねぇ…明日のお弁当用かしら?」
「マジか…!レナめ、いじらしい奴……」
「声をかけたら本当に嬉しそうだったわ」
「くはっ…レナも明日が楽しみなのか…余計明日が楽しみになってきたぜっ!!」
 
 
圭一がスキップをしながら、2階の部屋に駆け上がっていくのを見ながら圭一の母親はボソリと、
 
 
 
 
 
 
 
 
「……あの量は、2人分のお弁当を作る量じゃなかったけどねぇ」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
翌日。
 
圭一は待ち合わせ場所についた瞬間、声が出なかった。
 
「圭ちゃーん!遅いよ―っ!!」
「圭一、お寝坊でもしたのですかー?」
「圭一さん、遅いですわよ!わたくし待ちくたびれてしまいましたわ」
 
 
………あれ?
俺は何度も目を擦り、目の前に広がる光景を確認する。
俺は幻覚でも見ているのだろうか、何故魅音達が居るんだ?はっ……もしかして……
 
 
 
「圭一くん、早くっ!」
 
 
 
そういえば、レナは俺を誘う時、『2人きり』とは一言も言っていなかった。
くそっ、俺の勘違いかよ!!昨日の妄…いや、あの予行練習はなんだったんだ!
本当は今からあーんな事やこーんな事をする予定だったのに!!お弁当を2人で食べながら、ちょっと手が触れ合っちゃってさ……
 
 
「「あ………」」
 
 
ちょっと気まずい雰囲気になって、
 
 
「圭一くん……」
 
「レナ………」
 
 
………………。
 
 
 
そういう展開を期待していたのにっ!!
神さまの馬鹿やろーっ!これじゃデートじゃなくて、ただのピクニックじゃねぇか!(※もともとデートじゃなくてピクニックです)
 
 
「圭一くん…レナのお弁当あんまり美味しそうじゃない…かな」
 
「そ、そんな事ねぇよっ!」
 
「ほんとに……?」
 
「本当だ!レナの作る物だったら何でも……俺……」
 
「圭一くん…レナもね、圭一くんに美味しい物たくさん食べさせてあげたい。あ、料理もだけど…出来れば、私…も…」
 
 
 
自主規制。
 
 
 
「圭一さん!!何ボーっとしてるんですの!?早く来てくださいなっ!わたくし待ちくたびれてましてよっ」
 
 
 
沙都子の声でハッと気がつくと、俺はまだ同じ場所にたたずんでいた。
って、今のレナは妄想かよ!俺は本当に大丈夫なのか。こんな妄想するようじゃもう終わりだな……
 
俺は潔く期待していたシナリオを諦め、手を振りながらレナ達の元に走って行った。
 
 
 
「わりぃ、わりぃ!」
「まったく遅いですわよ!」
「みー」
「はいっ、圭一くん。レナの自信作のお弁当、食べてみて?」
「ヒューヒュー、熱いねぇ、2人とも」
「みっ…魅ぃちゃんっ!」
 
 
魅音にからかわれて顔を真っ赤にするレナ。くそ、可愛いなぁ…この可愛さは本当に罪だぜ。
そして目の前に差し出されている弁当も見事なものだ。
流石料理上手のレナ……将来立派な奥さんになる事間違いなしだ。
 
もう俺と同じ年で、竜宮家の家事全般を受け持っているのだから尊敬に値する。
…あ、そういえば梨花ちゃんと沙都子も2人で暮らしてるんだっけか。
本当にここに居るメンバーは凄いな。少しは見習わねば……まずはお母様、いつもありがとう!
 
 
 
 
俺は一口、玉子焼きを箸で取り、一気に口の中に放り込む。
 
 
 
 
「どうかな、かな?」
 
 
 
もぐもぐと味わって食べる。ここで、すぐに美味しいとは言わず、焦らすのがポイントだ。
ほら、レナは少し慌てたように……
 
 
 
「け、圭一くん………?」
 
 
 
こんな風に少し泣きそうなレナもとびきり可愛いが、流石にここまでやると可哀想かな?
 
 
 
「もちろん美味いぜ!レナは、本当にいい奥さんになるよっ」
 
 
 
そう言って、笑顔で頭を撫でてやる。
レナは嬉しそうに笑っていた。それを見ていた部活メンバーは………
 
 
「圭一さん焦らしすぎですわよ!レナさんのお弁当が美味しいなんて当たり前の事ですわ!」
「みー☆圭一はレナをお嫁さんに欲しいのですか?」
「なっ…ななな!?圭ちゃん、それほんと!?」
 
 
梨花ちゃん…!なんつー事を言うんだよッ!!
って、俺なんて答えれば……そりゃぁ、レナには是非俺のお嫁さんになって欲しいけど…
いやいや、なってくれたら最高だ!!いやむしろ、なってくれ!と土下座して頼みたいくらいだっ!
 
 
 
「はぅ……圭一くん……」
 
 
 
ここまで来たらもう後戻りは出来ねぇ!
 
男前原圭一……いつかケジメをつける時が必ず来る……
 
 
 
 
そう、今がその時だ!!!!
 
 
 
 
 
 
 
「お、俺はレナの事が好きだ ―――ッ!!」
 
 
 
 
 
 
 
チュンチュン………
 
 
 
 
「あり…………?」
 
 
 
 
ここは何処?私は誰?
 
……………。
 
 
 
ここは俺の部屋で、俺は前原圭一。そして、俺は今布団の中で、外ではスズメが鳴いている。
 
 
 
あぁ…夢か…………
 
 
 
 
 
って今の全部夢っ!?
 
 
夢オチ……そ、そんなのありかよ!!
 
 
 
 
 
 
 
 
「圭一、そろそろ起きないとピクニックに遅刻するわよー?」
 
 
 
 
 
あ、そうだった。
今日はレナとデート(※ピクニック)だったぜ。変な夢見ちまったなぁ…ほんと。
正夢だったらどうするかな…なんちって。
 
 
 
 
 
 
圭一は待ち合わせ場所についた瞬間、やっぱり声が出なかったのでした。
 
 
 
 
 
 
 









>>あとがき
 
はい、夢オチ正夢でした。
最初は確か皆でピクニックに行く話になる予定だったのに、何処でどう間違ってただの圭一の妄想話になったのか。
書いた本人でさえ謎です(爆
 
でもとっても書いてて楽しかったのは間違いない!
圭一は本当に色々と動いてくれて助かります。流石主人公……!
 
部活メンバーの女の子達は皆家庭的ですよねぇ。
特にレナはもう完全に家事バッチリというイメージたっぷりで可愛いw
 
にしても、部活メンバーをちゃんと書いたのはもしかして初めて?ですな。
もしかしてじゃなくても初めてですな。ちなみに、沙都子のしゃべり方がとても好きです。かなり可愛いから!
 
 
では、こんな管理人の妄想にお付き合いくださりありがとうございました!!
 
-2008.06.14-
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