はぅ………
 
私達、付き合ってるのかな、かな……
 
 
 
 
 
 
 
ファーストキス
 
 
 
 
 
 
 
圭一くんに「好きだ!」と告白されて早3日。
朝一緒に学校に行って、途中から魅ぃちゃんと合流して、授業を受けて、部活をして家に帰る。
特に変わらない幸せな日常。
 
 
別に不満がある訳じゃないの。
私今とても幸せだもの。
 
 
 
 
でも……なんだろう、この胸の痛みは。
 
私は何がしたいんだろう。
圭一君にどうして欲しいんだろう。
 
 
分からないけど、この歯がゆさに参っているのも事実。もしかして、何かの病気かな?…かな?
 
 
 
「レナっ、何か元気ねぇぞ?どうかしたか?」
「えっ?何でもないよ、大丈夫っ」
「本当か?」
「うん!はぅ〜今日も部活盛り上がったね!」
「あぁ、今日は魅音に一杯食わされたが、明日はそうはいかないぜ!」
「あはは、圭一くん頑張ってねっ」
「おうよ!じゃぁ、また明日な!」
「バイバーイ、圭一くんっ」
 
 
 
魅ぃちゃんと別れて、2人きりの通学路。
すぐ終わっちゃうけど、もしかしたら1日の中で1番幸せな時間かもしれない。…告白される前と、何も変わらないけど。
 
 
手を繋ぐ訳でもなく、肩を寄せ合う訳でもなく……
 
 
 
 
やっぱり、私達がまだ子供だからかな……かなぁ?
 
 
 
 
「はぁ…レナ、どうしちゃったんだろう……」
 
 
 
 
これも全部ぜーんぶ圭一くんのせいだよ!
レナ本当に悩んでるんだよっ、それなのに圭一くんは全然悩んでないみたいだし……
何だかレナばっかり、ドキドキしたりハラハラしたりで悔しいよ…
 
 
 
 
…………。
 
恋なんて、初めてだし………
 
 
 
やり方だって、どうすればいいのか、分からないし…………
 
 
 
 
「圭一くん………」
 
 
 
 
でも、やっぱり人は恋をするんだと思う。
だって、恋をする事ってとても素敵なことだから。
 
ほんの少しの勇気を振り絞れば前に進めるのに、その1歩が踏み出せない。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
(でも、レナは圭一くんに恋をした事、全然後悔なんかしてないよ………?)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「レーナーッ!」
 
 
次の日は土曜日で学校はお休み。
久々に朝はのんびりと布団の中でゴロゴロしていた時、聞きなれた声が聞こえ、目が覚めた。
 
まだ眠い目を擦りながら、窓をガラリと開けると家の前に圭一くんが立っていて、大声で私に呼びかけている。
 
 
「おーい!まさかまだ寝てたのか?」
「はぅ………?」
「もうお昼の1時だぜー?」
「ええぇっ!?」
 
 
そう言われて、慌てて目覚まし時計を見ると確かに1時15分…
い、いくら何でも寝すぎだよ〜っ!
 
 
「なぁ、レナー」
「な、なぁにー?」
「今日暇か?」
「えっ?」
「暇か?」
 
 
「暇…だけど………」
 
 
 
私がそう言うと、圭一くんはニッと笑って、
 
 
 
 
 
「じゃぁ、今からデートしようぜっ!」
 
 
 
 
 
そう言ってくれたんだ。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
私は急いで起きて、顔を洗い、いつもの服に着替えた。
圭一くんを待たせたら悪いと思って、急いで用意したため色々と準備不足……。
 
おかげで、せっかく圭一くんがデートに誘ってくれたのに、全然オシャレとか出来なかったよぅ
 
 
 
 
「いくら休みだからって寝すぎじゃねぇか?」
「だ、だって……っ」
「まぁ、行こうぜ!」
「何処に……?」
 
 
「宝探しっ!」
 
 
 
宝探しはもちろん嬉しい!
だってかぁいい物がたくさん、たっくさん、あるんだもん。
 
でも、「好き」って言われた後だから、少しだけ変化を期待していたんだけど……
 
 
 
やっぱり、私達は何も変わらないのかな……かな。
 
 
 
 
 
 
 
 
「さーてと………」
「どうしたの、圭一くん?」
 
ダム工事現場に到着したすぐ後、圭一くんは何度か深呼吸をして、レナの方を向いた。
 
 
「なぁ、レナ…俺、お前の事好きだって言ったよな?」
 
「う、うん………」
 
「レナも俺の事好きだって言ったよな?」
 
「う、うん………」
 
 
私が顔を真っ赤にしながら答えると、圭一くんはニッと笑って私の頭を撫でた。
 
 
 
 
「それなら良かった!さぁ、宝探し始めようぜっ」
 
 
 
その言葉にちょっと拍子抜けしたけど、圭一くんに悟られないように笑顔で「うん!」と答えた。
 
 
 
 
 
 
 
 
はぅ…圭一くんって、本当に女の子の気持ちが分かってるのか、分かっていないのか…
 
 
そんな事を考えながら、私達は足場の悪いダム工事現場でかぁいい物を探していた。
今日は中々かぁいい物が見当たらないなぁ…
 
これも全部ぜーんぶ圭一くんのせいかも!
 



「あっ…………!!」


そんな事を考えながら作業していたから、高い位置で足を踏み外してしまった。
慌ててバランスを立て直そうとしたが、その時にはもう既に遅くて……
 
 
周りの景色がスローモーションに見える。その間で、私よりも下の位置に居た圭一くんが目に入って、
 
 
 
 
それで―――――……
 
 
 
 
不思議と痛みは感じなかった。
こんな足場の悪い所で落ちたら、怪我は免れなかっただろう。
 
 
ぎゅっときつく閉じた眼を恐る恐る開ける。すると、圭一くんが私を抱きかかえてくれたようで……
 
 
 
あ…あれ………?私…………
 
 
 
 
け、圭一くんの顔が近い……っ
 
 
あれ、今私の唇が触れてるのって……もしかして、圭一くんの………っ
 
 
 
 
 
 
 
「け、けけけ圭一くん!?」
 
「うぉっ…本気でビビッたぜ…!まさかレナが空から降ってくるとは…」
 
「あ、ありがと……」
 
「おう……」
 
 
 
お互い今起きたことが理解しているのかいないのか分からない。
 
そのため、2人とも顔を真っ赤にしたまま、俯いてしまった。
 
 
 
 
 
 
「か、帰るか……今日は………」
 
 
「うん………」
 
 
 
 
 
あの時、間違いなく私と圭一くんの唇は重なってた………
 
 
 
 
 
 
私の、ファーストキス――――。
 
 
 
 
 
 
考えただけで顔が赤くなってしまい、思わず唇を手で押さえた。そんな時、圭一くんに声をかけられる。
 
「レナ、今日の事なんだけどさ……」
「えっ?」
「ほら、宝探しの最中に……キ、キスした…よな」
「う、うん………」
 
 
改めてそう言われると照れくさい。私はこれ以上ないくらい、顔を真っ赤にしたまま俯いてしまった。
 
 
 
 
 
「嫌だったか?」
 
「い、嫌じゃないよ……っ」
 
「本当に?」
 
「本当だよ!私、圭一くんなら…別に……っ」
 
「レナ………」
 
 
 
 
私は圭一くんにぐいっと手を引かれて、私達の影は再び重なり…そして…………
 
 
 
 
フ ァ ー ス ト キ ス

(耳には、ひぐらしのなく声が心地よく響いていた。)




 
 
 
 
 
 
 
 
>>あとがき
 
圭レナはこんなファーストキスがいいなぁ!!という願望。
ゴミ捨て場で、事故で、そのまま……うぉ、萌える!!(お前だけだよ)
っていうか文章書くのが本当に難しかったです(汗
もっと完結に上手に分かりやすく書けたら良かったのに…と(苦笑
 
えーっと、結局どういう事かといいますと、
 
宝探しの最中→レナがゴミ捨て場の上の方で足を踏み外す→ゴミ捨て場の下の方にいた圭一がキャッチ→その時どさくさに紛れてキス
 
っという感じでした。完結に言えば。
上手く書けた気がしません…が、書いてて本当に楽しかったです!初圭レナのキスシーンを書いた…!はぁはぁ←死
 
そして、圭一が帰ろうと言ったのは、実は受け止めた時に腰を強く捻ってたためでした(一応オチらしい)
漫画の音でいうならば、ゴキッと(何
 
では、文才ないこと丸出しの小説を読んでくださり、ありがとうございました☆(逃亡)
 
-2008.07.01-
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