B o y s ゚・*・゜゚・ 
 
 
 
 
 
 
今日は、真夜中の学校に忍び込み、こっそりといつものメンバーで部活をする事になっていた。
 
部活の内容は、肝試し。
肝試しの敗者にはもちろん罰ゲームがある。
1番早く帰ってきたチームが罰ゲームの内容を決める権利を得、
敗者…つまり一番帰って来るのが遅かったチームはそれに無条件で従わなければならない。
 
 
 
「さーて、チーム分けはどうするかねぇ」
「はーいっ、お姉!私は悟史くんとがいいでーす」
「ちょっとお待ち下さいませ!にーにーはわたくしと行きますのよ!?」
「なーに言ってるんですかっ、肝試し男女2人きりのペアなんですから、お子ちゃまの沙都子は駄目ですー」
「意味が分かりませんわ!!まず、男女ペアなんて決まってませんし!」
「悟史くんは私と2人きりで暗闇の中…お化けに怖がったフリをしてしがみついたり、
 その時胸を当てて色仕掛けで攻めたり、ふと手が触れ合ったり、そして、2人はついに……」
「はい、そこでストップー!公平にくじ引きにしようっ!!」
「だ、だな………」
「あぅあぅ、僕も賛成なのですーっ」 
 
 
 
そして、チーム分けと順番は、
 
1番手:魅音と詩音
2番手:レナと羽入
3番手:梨花と沙都子
4番手:圭一と悟史
 
 
 
「…って、ちょっと!何で悟史くんが圭ちゃんとなんですかぁーっ!?」
「まぁまぁ、公平にくじ引きで決めたんだからさ…」
「そ、そうだよ…詩音……ねっ?」
「悟史くんがそう言うなら…」
「はっはっは、愛されてるなー悟史」
「……圭ちゃん、悟史くんに変な事したら承知しませんからね?」
「しねぇぇえよ!!!」
「悟史くん…危なくなったらいつでも呼んでください!私が圭ちゃんの毒牙から守ってあげますからっ」
「う、うん………」
 
 
 
 
1番手。
 
「お姉!足引っ張らないでくださいよー」
「引っ張らないよ!詩音こそ、怖くてしがみついたりしないでよ!」
「ふんっ、私は缶詰以外怖いものなんてありませんよ」
「あっそ……。」(可愛げがない……)
 
 
 
 
2番手。
 
「頑張るね!レナ達が一番だよ、だよ!」
「あぅあぅ…肝試し怖いのです」
「怖がってる羽入ちゃん、かあいい〜!お持ち帰りィ――!」
「はうぅぅ〜…」
 
 
 
 
3番手
 
「梨花…が、がが頑張りますわよ!!」
「沙都子は怖がりなのです」
「こ、怖がってなんかいませんわよ!!!」
「そういえば、この辺りには昔せんそーで死んだ落ち武者が出るそうなのです」
「……!!!」
「おまけに血だらけなのですよ、にぱー☆」
「うわぁあああん」
 
 
 
 
4番手
 
「男のフルパワー見せてやろうぜ!」
「はは、そうだね」
「俺たちが手を組めば怖いものなしだ!さーて罰ゲームの内容でも考えるかな〜」
「むぅ…圭一は気が早いなぁ。まぁ、僕も負ける気はないけどね!」
 
 
 
 
 
そういえば、今更だが、俺は悟史という人物がまだよく分からない。
まだ、一緒に過ごすようになってそんなに時間が経っていないからかもしれないが…
 
 
俺が想像していた悟史と、今ここにいる悟史とのギャップが違いすぎるのだ。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
4年目の祟り、沙都子の叔母が殺され、兄の悟史が失踪した。
 
 
そして、長い間音信不通だったのに、突然戻ってきた。
その辺りのことを尋ねると、悟史はいつも「むぅ…」と言って誤魔化すか、詩音や沙都子に邪魔をされるかのどちらかだ。
レナと魅音、梨花ちゃんはその辺は分からないみたいだし…羽入は……分かる訳ないか。
 
 
 
 
 
 
 
 
その辺りの事情を知っているのは、沙都子と詩音だけだろう。
 
 
 
 
妹の沙都子は分かるが……詩音はなぜ?
 
それに、(態度からして)詩音は悟史の事が好きなのだろう。しかも、かなり惚れ込んでると見た。
 
 
 
 
 
も、もしかしてこの2人付き合ってるのか!?
 
 
 
 
 
「な、なぁ…悟史」
 
「何?圭一」
 
「悟史ってさー…もしかして、詩音と付き合ってるのか?」
 
「うぅん」
 
「え"っ?」
 
 
 
でも、あの詩音の惚れっぷりはすさまじい…あれはいくらなんでも異常だぜ。
まぁ相手が美少女だから、悟史も悪い気はしねぇだろうけどさ……
 
 
この2人、俺の知らない昔にいったい何が………?
 
 
 
 
「でも、詩音は悟史の事が好きだよな〜」
「そんなことないって。圭一の勘違い…そんな事言ってたら、詩音に怒られちゃうよ?」
「いや、そんな事ねぇと思うけど……」
「詩音は戻ってきた僕が溶け込みやすいように、あぁして冗談を言ってくれてるだけだよ」
「そ、そうか……?」
 
 
 
天・然・か!!?
あれだけあからさまなアピールされているのに、気づいていないのかよ!!
 
それともただ照れてるだけか……?
いや、この顔からすると、たぶん気づいてないな。いくらなんでも、鈍感すぎだろ!!
 
 
 
 
 
「…悟史は詩音の事、どう思ってるんだよ?」
 
「ええ!?」
 
 
 
その瞬間、悟史の顔が真っ赤になった。…これを見ただけで分かってしまう。
何だよ、相思相愛なのか。だったらさっさと告白して付き合えばいいのになぁ……。
 
 
 
「…悟史も詩音の事が好きなんだな?」
 
 
「え?圭一も?」
 
 
「違うだろっ!!!意味が!!」
 
 
 
決定っ、コイツは間違いなく天然だ!しかも超のつく鈍感野郎だ……っ
 
 
 
 
「俺が転校してくる前……悟史と詩音って、仲良かったんだなぁ」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
長い間離れていても、お互いの事を想い合ってるなんて……
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「うぅん、実は最初…詩音って、魅音のマネをしてたんだ。だから、最初は魅音だと思ってた……
 でも、僕が………………ここから居なくなる前に、初めて知って、そのまま僕は居なくなったから、帰って来るまで詩音との交流はほとんどなくて……」
 
 
 
「…じゃぁ、どうしてだ?」
 
 
 
「詩音のおかげで僕は、ここに戻ってこれたから……」
 
 
 
暗闇の中、押し潰されそうな罪の意識の中で、ただ1つの温かい光。
 
その光があったから、その光を辿って戻ってくる事が出来た……
 
 
 
 
 
 
 
 
その光が、詩音だった。
 
 
 
 
 
 
 
 
だから、僕は詩音に感謝している。
詩音の声が、僕にとっての救いで、詩音がずっと手を握っててくれたから……だから、怖くなかった。
 
怖くなかった。
 
 
 
(でも、とても寂しかったよ………)
 
 
 
 
 
「悟史……………」
「いつか、必ず話すよ。僕の事……今は部活に集中しないとね!」
「…あぁ、分かった」
 
 
悟史の事、少しだけ分かった気がした。
普段ボーっとしてて、何処か危なっかしくて、でも落ち着いた雰囲気の持ち主だが、悟史は重い何かを抱えている。
 
 
昔も、今この瞬間も……俺と同じ、いやそれ以上の重い荷物を。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「ちょっとー!圭ちゃんも悟史も遅いよーっ!」
 
「にーにー早くっ!ビリ決定ですわよー!」
 
「あっ、やべ……!急ぐぜ、悟史っ」
 
「うんっ……!」
 
 
 
 
 
 
楽しい毎日、信じあえる仲間達……
 
戻ってきて良かった
 
 
 
 
 
 
 
この世界でみんなと一緒に生きていられて、本当に良かった。
 
 
 
 
 
 
 
「悟史くんっ」
 
「詩音………」
 
「怖くありませんでした…?」
 
「怖くないよ…今は、みんな居るから」
 
 
 
そう言いながら、詩音の頭を撫でる……ほら、君が笑ってくれるから。
結局肝試しの1番は魅音と詩音。そしてビリは、レナと羽入ちゃんになった。

毎日が楽しい。毎日が幸せ。
こんな日が来るとは思っていなかった。

これも全ては、僕を待ってくれていた人が居たから。



僕は、この雛身沢で、みんなと一緒に生きていこう。

ここに集う、かけがえのない仲間達と共に。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
>>あとがき
 
初の部活メンバー勢ぞろい!!
実は羽入もかなり好きです。可愛いです。肝試しにしたのは、レナと羽入の会話が書きたかっただけでした←
 
羽「あぅあぅ、肝試し怖いのです…」
梨「(あんたが言うか…)」
 
っと、梨花のツッコミを入れようと思いましたが、止めました。
 
 
圭一と悟史をメインに書こうとしたのに、何か微妙……。
ただのサトシオンになってしまった…まったく修行が全然足りないです(´・ω・`)ショボーン
自分としてはオールキャラのつもりなので、堪忍してくださいませ。また書きますーっ
悟史が帰って来たら、皆仲良くこうやって部活をすればいい!
 
では、ここまで貴重な時間を使って読んでくださってありがとうございましたーっ!
 
-2008.08.10-
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