やっぱり恋とは勢いだ。

だから、単刀直入に聞いてみよう。もしかしたら、何かの道が開けるかもしれない……









愛 方 程 式
 
 
 



「…悟史くんはっ、ど……どんな人がタイプなんですか!?」
 
私は、悟史くんの事が好きです。本当に好きなんですよ?
好き過ぎて暴走はするし、眠れない夜もあるくらい、私は貴方の事が大好きです。
 
 
…でも、やっぱり片思いは辛いじゃないですか。
だから貴方に私の想いを受け入れてもらえるように、努力します。
そりゃぁ、努力しても駄目なものは駄目なのかもしれませんけど、何もしないでフラれるよりは随分マシだと思いませんか?
 
 
 
 
「む、むぅ……」
「ほら、答えてくれたら目の前の女の子が、理想の女の子に早変わりしちゃうかもしれませんよ☆」
「そ、そうなの?」
「保障はしませんけどね〜」
 
 
 
でも、貴方の理想の女の子に少しでも近づけたら良いと思う。
だって、貴方は私の理想の王子様そのものなんですから。
こんなに好きで好きで、たまらなくて……
 
 
 
貴方が笑うと私も嬉しい。
貴方が泣いていると私も悲しい。
貴方が好きだから、もっと、一緒に居たい、話したい、触れたい、って思う……
 
 
 
これって、きっと自然な感情よね?
 
 
 
「詩音はどうなの?」
 
「えっ?」
 
「詩音のタイプの人」
 
「悟史くん…質問に質問で返すのは反則ですよ〜」
 
「あはは、いいじゃないか。詩音が先に言ってよ」
 
「そうですね……」
 
 
 
その質問、私にとっては結構難しいんですよ。
だって、タイプも何も私は悟史くんが好きなんですし…悟史くん以外は眼中にないですし。
そうですね…悟史くんを王子様と例えるなら、他の人はカボチャでしょうか。
 
…じゃぁ、私はシンデレラ?なーんてね。
 
 
 
 
「し、詩音………?」
「あははは、私のタイプ…そうですねぇ、やっぱり優しい人が好きです。」
「ふむふむ…」
「あと、頼りがいがなくて、要領悪い人がいいですね…」
「……うん?」
「そして、ブロッコリーとカリフラワーの区別がつかない人が好きですっ!」
「む、むぅ……」
 
 
 
 
気づきました?遠まわしに、悟史くんが好きって言ってること。
鈍感な貴方はきっと冗談だと思っているんでしょうけど、決して冗談なんかじゃありませんから。
 
 
 
「さぁ!次は悟史くんの番ですよっ」
 
「えー…詩音、今のは答えたことになるのかい?」
 
「なりますよ。だって、私何1つ嘘ついてませんから」
 
「むぅ……そうだなぁ……」
 
 
 
さぁて、悟史くんはなんて答えるんでしょうか。
ちょっとドキドキワクワクしてきました。悟史くんの好きなタイプ…やっぱり沙都子とかですかねぇ?
 
 
 
「僕のタイプは………」
 
「はい」
 
「えっと………」
 
「はい」
 
「むぅ………」
 
「って、悟史くん!?」
 
 
 
本当に言う気あります!?
さっきから全然進まないじゃないですか……!そんな悟史くんも大好きですけどねっ、私は。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「僕は、約束を守ってくれる人がいいなぁ。」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
笑顔でそう言って、私の頭の上に手を乗せる。
 
そして、優しく頭を、撫でてくれた ――――……。
 
 
 
 
 
「詩音みたいに」
 
「さ、悟史くん……」
 
「約束守ってくれてありがとう、詩音。」
 
「ず、ずるいですよ……っ」
 
「あはは、お互い様」
 
 
 
 
全然お互い様じゃないです。
私は誰に対してもイニシアチブを保ってきたのに、彼には簡単に自分のペースを乱されてしまう。
それはとても悔しいことだけど、でも……
 
 
でも、悟史くんにならいいって思っちゃうんです。
 
 
 
 
 
 
「…悟史くんって時々意地悪になりますよね」
 
「そ、そう!?」
 
「そうですよー」
 
「そういう詩音はいつも意地悪じゃないか」
 
「なっ…、そんな事ないですっ」
 
「いつも僕のことからかうし」
 
「うっ……そんな女の子はタイプじゃありませんか……?」
 
「む、むぅ〜……っ」
 
 
 
 
そうやってすぐに頬が赤くなる貴方も大好きです。
一緒に居れば居るほど好きになる。たとえるなら、2乗の方程式みたいな感じです。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
悟史くんは「約束を守ってくれる人」が好きだと言った。
 
私は、悟史くんの帰りをずっと待ってた。
悟史くんに沙都子を頼まれていたから、沙都子の面倒も見た。
 
 
だから、悟史くんは帰って来てくれたんだよね…?
 
 
 
 
きっと、
 
私が「約束」を守ったから、帰って来てくれたんだよね………?
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「…け、結局その答えじゃ、私が悟史くんの理想の女の子に早代わり出来ないじゃないですかっ!」
「むぅ…詩音はそのままでいいよ」
「えっ……そ、それってもしかして…」
「詩音が変わったら変だよ、あはは」
「……そ、そうですよねー」
「ん?」
「何でもないですぅ」
 
 
 
 
 
 
貴方の傍に居ると、どんどん好きっていう気持ちが強くなる。
 
 
貴方は私の初めての人。
初恋から始まり、私の人生全てを賭けようとした人だから……
 
(私は、もう貴方しか愛せない。だから、私は貴方のためなら何でも出来る。)
 
 
 
 
 
 
 
 
私は、貴方の全てが好きです。
 
 
(あなたとの約束だけは、もう絶対に破らない。だから、ずっと傍に居てくださいね……?)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 





>>あとがき
 
これは結構お気に入りだったりします!でも、タイトルがイマイチ…もしかしたら変えるかもしれません。(変更しました/2009.02)
悟史と詩音にはこんな感じで毎日を過ごしてもらいたいです…。
でも、今更ながらにこの2人は凄いと思う。
 
詩音は悟史との約束をずっと守っていた訳で…
綿流し目明しでは守れなかったことを後悔しながら死んで…
でも、他のでは悟史を待ち続ける。並大抵のことじゃ、ここまでできないと思うんですよね。
 
悟史も、約束を守ってくれた詩音のことを大事にしてあげれればいい。
眠っている間も、きっと詩音の声は悟史に届いていたはずなので……うぉ、考えれば考えるほどいいな!!
素敵過ぎる。でも、文章力がついていかないんだorz
 
では、あとがきになったか微妙ですが、ここまで読んでくださりありがとうございました!!

-2008.08.13-
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